尾形一郎さん、尾形優さんご夫妻。お二人の動画を見ていると仲の良いご夫婦に見えるが、実は本当に仲が良いのだ!私の知っているご夫婦の中でも1番仲良しかもしれない。
今までに、何度かお会いしたことがあるが、最初、お二人並んでいるのをみた時、私は「あっ」と驚いてしまった。


「宇宙人と守護天使……」と心の中でつぶやいてしまった。
一郎さんは天才肌の人だ。アーティストの世界は、きっと銀河のずっと向こうまで広がっていて、一郎さんは、あちらの世界、こちらの世界と自由に飛び回っているのだと思う。
でも、一郎さんがそうやって自由に飛び回れるのも優さんがいるからこそだろうと思う。一郎さんはよくジョークを飛ばすが、優さんはとても楽しそうにコロコロ笑う。
一郎さんは自分が作品を作るのは、優さんに作品を見て欲しいからだと言っていた。だから一郎さんの創作の源は優さんなのだ。
一郎さんは事務的な仕事があまり得意ではないらしいが、優さんが一郎さんの苦手な所をカバーしてくれるので、とても感謝していると言っていた。人生で最高のパートナーに巡り会えた人は、幸せだと思う。
一郎さんの著書に『極彩色メキシコ巡礼』とういう本がある。メキシコの文化や歴史が、写真とともに語られている。写真集としても、紀行文としても楽しめる本だ。
『極彩色メキシコ巡礼』著者の名前は、尾形さんの以前の作家名になっているが、著者は尾形一郎さんだ。

ウルトラバロックと呼ばれるメキシコの教会建築の写真はゴテゴテな美しさで、一郎さんの写真によって、観光地になった教会もあるそうだ。

本の中に書いてあったエピソードだが、旅の途中、優さんがビデオ撮影しながら、現地の行進にどこまでもずっと付いていって、帰ってこなかったらしい。上の写真は、行進の様子を優さんが撮影したビデオの画像だ。
本のなかでは、ほんの少しだけの記述だったが、なぜか私は、優さんがちょっとの間行方不明になってしまったくだりが、一番印象に残った。その間一郎さんはどんな気持ちだったかを想像してしまったからだ。
旅というのは、非日常的なもだ。異国の行進は魔術的で、別の世界のようで、その行進と一緒に大事なパートナーがどこかへ行ったまま帰ってこないって、とても非現実的な感覚かもしれない。
私は、このくだりを読んで、昔見た『シェルタリング・スカイ』という映画を思い出した。
映画は、北アフリカを旅していた白人夫婦の話で、旅の途中、砂漠で夫が病気になり死んでしまう。妻は夫の死後、現実世界に戻って来れなくなって砂漠をさまよう。そんなストーリーだった。
旅先でのパートナーの喪失は非現実的だ。もし優さんが、行進とともに消えてしまったら、それはとても怖いことだ。一郎さんは、現実世界に戻ってこれなくなってしまったんじゃないか?なんて思ってしまった。
ともあれ、ほどなく優さんは無事帰ってきた。一郎さんはすごくホッとしたと思う。