エッセイ

ARTとは何?意味不明な作品が高額なのは何故?をわかりやすく解説

ARTとは何か、奇妙な絵やガラクタのようなオブジェ、カレーライスを皆んなで食べることもARTだという。

わけのわからない作品に目が飛び出るような値段がついていることもある。「ARTって一体何?意味不明」この疑問は当然だと思う。

この記事は、ARTって面白そうなんだけど、なんだかよくわからないというあなたに向けて記事を書いている。

この記事を読めば、ARTとは何かや、奇妙な絵やガラクタのような置物がなぜARTなのか、高額な値がつくのかが理解できて、すっきりすると思うので、ぜひ最後まで読んで欲しい。

ARTとアートは違う

この記事はARTについて書いている。ARTと似た言葉、アート、芸術、美術、などなど。ARTに近い日本語の言葉はいっぱいある。

時にはARTと意味が同じように使われるが、時には違う。場面、状況によって言葉の意味は変わるのでなおさらややこしい。

ややこしいので、この記事ではARTはARTとして、日本語のアートや芸術、美術とは別物として考えることにする。

ARTは欧米の文化である

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ARTは欧米の文化である。これがARTを理解する上で大事なポイントだ。

ART作品について、あなたが思い浮かべるのは、どんな作品だろうか?ダビンチのモナリザ、ゴッホのひまわり、北斎の赤富士、ピカソのゲルニカ、これらの作品はARTと呼ばれる。

ARTはあくまでも欧米の文化だ。日本の文化であっても欧米の文化に取り込まれたら欧米の文化なのだ。

ARTを日本語の芸術、美術とごっちゃにすると、ARTとは何かがチンプンカンプンになる。

ARTとは歴史のしおりである

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ARTは欧米の文化だと先述したが、ARTというとかならず出てくる言葉が「文脈」だ。この「文脈」という言葉がARTとは何かを知る手がかりになる。

文脈とはなにかというと、欧米の歴史の流れのことで、ARTとしての評価は、作品がどのように欧米の歴史と繋がっているかっていうことが大事なポイントとなる。

ARTは欧米の歴史と絡み合って進んできたし、これからも進んでいく。

ARTとは歴史の「しおり」だ。こう言っていたのは、評論家の岡田斗司夫さんだ。「しおり」というのは、本の読みかけの所にはさんで目印にする、紙やリボンのこと。

(欧米から見た)歴史の「しおり」だという見方は、ARTとは何かを考えるときに、とても参考になると思う。

ARTにはルールがある

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ARTにはルールがある。「えっ?ARTって自由に表現していいものじゃないの?」とあなたは思うかもしれない。私もそう思っていた。

でもそれは大きな間違いで、ARTの本流をいく作家になろうと思ったら、欧米の歴史とARTの歴史を踏まえて作品を作らなければ評価されない。

欧米の歴史に繋がっていることがARTのルール

つまり、欧米の歴史に作品が接続されていること。これはARTの大事なルールなんだ。

ARTであるためには、作品は欧米の視点でみた歴史の「しおり」であること。「しおり」になるためには、作品は制作された時点で、歴史の最前線を表現していることが必要だ。

しかし、ARTの細かいルールはブラックボックスでわからない。その上細かいルールは常に更新されている。だからこれから何がARTになるかかわからないというのが本当のところ。

ARTのルールを教えない日本の学校教育

ARTにはルールがあるなんて、私は美術学校で教えてもらった覚えはない。皆んな教えてもらっていないので日本ではArtistがなかなか育たない。日本の教育の問題だと思う。

日本の美大の入試では、いまだにデッサン力が重視されているけれど、Artistになりたかったら、デッサンができるより、最先端科学技術に精通しているとか、哲学的な思考ができるとか、西洋史に詳しいとかの方が役に立つのではないか?と今は思う。

学生時代、先述したことがわかっていたら、絵が超下手くそな私も、デッサンコンプレックスを持つこともなく、堂々と下手くそな絵を描いたり、もっと別な作品を作れたかもしれない。

北斎の浮世絵は何故ARTか?

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では、欧米の歴史に接続されるってどういうことなのか、北斎の浮世絵を例に考えてみたい。

「北斎の絵は日本文化だから、欧米の文化とは言えないのでは?」とあなたは思うかもしれない。もちろん北斎の絵は日本文化だが、北斎の浮世絵はARTだ。なぜならば欧米の歴史に繋がっているから。

19世紀に日本が開国し、それに伴い日本の絵画や工芸品も広く欧米に知られるようになった。そして欧米の文化は、19世紀後半にジャポニズムとして、日本の文化を取り入れ新たに発展していく。

ジャポニズムは、印象派の画家やアールヌーボーに大きな影響を与え、連綿と続く、欧米の歴史の1ページとなったわけだ。ジャポニズムのなかでも、浮世絵の評価は高く、浮世絵の中でも北斎の絵は得に人気が高かった。

例えば、北斎の版画を見れば、北斎の版画が欧米に渡った時代背景や、その後、北斎の絵が、どのように欧米の文化に影響を与えたのかが歴史の「しおり」のようにわかる。これが、欧米の歴史に接続されるということ。だから北斎の絵はARTといえる。

 「しおり」となった村上隆

今現在、北斎の絵みたいな浮世絵をそのまま作っても、ARTとして評価されないし、日本では未だに人気のある印象派みたいな絵を描いても、ARTとして評価されない。

もちろん、過去の作品の要素を取り入れて、新しい何かを作るというのなら、ARTとして大いに評価されるが、過去の作品と同じような作品を作ったところで、歴史の「しおり」にならないからだ。

村上隆さんが、なぜ世界的なアーティストとして評価されるのか、それは彼の作品が歴史の「しおり」になっているからだ。

戦後の日本とそこで生まれたサブカルチュアであるオタク文化。アニメやフィギュア。可愛いやキモ可愛い。そういったものが世界中で人気だ。

村上さんは、ARTの歴史を踏まえて、昔の人の作品を自分の作品にとりいれつつ、日本のオタク文化を表現している。

「しおり」として価値があると認められたということだが、認めてもらうためには、欧米のART業界にちゃんとARTであることを説明できなくてはいけない。村上さんは説明がちゃんとできたということだろう。

フィギュアやアニメの絵そのものだったら、上手に作れる人は他にもたくさんいると思う。

感じるだけではARTはわからない

先述したように、ARTにはルールがあるので、見る側もルールをわかっていないと、意味がわからないようになっている。だから「ARTは感じるだけでいい」といっていたら、絶対ARTはわからない。

一見意味不明なガラクタにしか見えない作品も、ARTのルールがわかって、作品の説明を聞いたら、理解できるものもある。ARTは見て感じるだけじゃなく、作品の説明を聞いたり、読んだりしなくちゃいけないものなのだ。

ARTはお金

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一部の現代ARTがなぜあんなに高額に取引されるのか、あなたは、不思議なことだと思わないだろうか?

たとえば、白い画面にただのグリーンの丸を描いただけの絵とか、ブルーだけの画面の絵に数百億の値段がついていることに。

ARTはお金持ちの投資対象

実は、ARTは金融と密接な関係にあって、ARTというのは、お金持ちの投資対象という一面がある。ARTは実物資産としての「お金」の役割を果たしているということ。

なぜ、意味不明の作品に高額な価格がつくのか

作品は紙幣みたいなものだ。「もの」それ自体の本質的な価値と「もの」に付けられた価格は違う。1万円札をみてみると、立派な絵だけれど、本質は紙に描かれた印刷物にしか過ぎない。

1万円分のお米なら、お米自体に価値はあるけれど、小さな紙にプリントされた絵自体に本質的な価値はない。

私たちが、1万円の価値がある!と信じているから、1万円のお札は1万円の価値があるということになっているだけ。

なんで、この作品にこの値段がつくの?という疑問の答えは、作品自体の値打ちと、作品についてる値段は無関係だということ。

絵の値段を決める人たちが、「このART作品は〇〇億円の価値があることにする!」と決めているから高額な価格になっているだけのこと。

高額な作品の値段は、ギャラリーが決めたり、オークションで決めたりするが、要するに、エスタブリッシュメントたちが、この絵はこの値段にしよう!と決めているだけなのだ。

この場合のエスタブリッシュメントというのは、ART業界の制度や体制を代表する支配階級のこと。エスタブリッシュメントは、ハイソなお金持ちや、美術商、美大の教授、美術館の偉い人、批評家などなど、ARTに関わるエリートたちで構成されている。

作品の値段≠作品の価値

だからARTというだけで、高尚で意味深い、凄いものっていうわけじゃない。お金持ちの実物資産としての意味しかないものも多い。

作品の値段≠作品の価値。エスタブリッシュメントが決めた値段=作品の値段。

これからのART

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次に、これからのARTはどうなっていくのか考えてみたい。

だれがARTのルールを決めるのか

ARTにはルールがあって、歴史と繋がることが、アートのルールだと先述したが、細かなルールはブラックボックスで、何がルールになるかわからない。

ARTのルールは明文化されていない。ここがスポーツのルールとは違うところ。そしてルールを決めているのは、世界のエタブリッシュメントたちなのだ。

ARTの未来とブロックチェーン

最近、ブロックチエーンの技術を使った、デジタル絵画なるものができて、高額で取引されているという。

2021年3月12日付の美術手帖によると、『Everydays-The First 5000 Days』という作品が『クリスティーズ』という有名なオークションハウスのオンラインセールで約75億で落札された。

実物ではなく、デジタル絵画はデータだ。これからのARTの一つの流れとしてARTもデータの時代が来た。金融とARTが切ってもきれない関係であることを考えると、当然の流れと思える。

アートとは何かを知る手がかりになる情報

ここで、いくつかアートとは何かを、わかりやすく解説している本や動画をご紹介したい。

最初にご紹介するのは、美術評論家の椹木野衣さんの本『【反アート入門】著者:椹木野衣 幻冬社 ¥1,800』ARTの構造や、お金とアートの関係についてわかりやすく、解説されている。

次にご紹介するのは、岡田斗司夫さんのYou Tube動画だ。『岡田斗司夫・村上隆と東浩紀』

先述したように、ARTとは歴史の「しおり」であると岡田斗司夫さんが語っている。ARTについてとてもわかりやすい解説だ。

『ARTとは何?』まとめ

筆者は、欧米の文化であるARTは、欧米の歴史と金融と絡まり合って一緒に走っているように感じる。ARTとはなにか?今自分がわかっている範囲でまとめると、以下の通りだ。

  • ARTは欧米の文化である。
  • ARTは欧米の歴史のしおりである。
  • ARTにはルールがある。
  • ARTはお金である。

なんだか、みもふたもないような話になってしまったが、ARTとはしょせん欧米のお金持ちのゲームという面がどうしてもある。

しょせんARTなのだけれど、されどARTというものがARTにはあって、日をあらためて、されどARTについて書いてみたいと思う。